市場において取引価格が定まる上場株式と異なり、非上場の株式は取引相場がありません。
評価額(時価)の把握に当っては、相続時か売買時かによって算定方法が異なり、さらにその状況によって計算式も変わってくるため、状況をいかに適正に把握するかが重要となります。
ここでは、そのあらましを簡単にご紹介します。
相続時に非上場株式を評価する場合、まず次の2点の判定を行います。
①同族株主かどうか
②会社規模はどうか
上記2つの判定基準をもとに以下の評価手法が定まります。
具体的には以下のように場合分けされます。
①同族株主の判定
- ・支配権を有する同族株主に該当 ⇒ 原則的評価方式
- ・支配権を有しない同族以外の少数株主に該当 ⇒ 特例的評価方式
②会社規模の判定
- ・大会社 ⇒ 類似業種比準方式
- ・中会社 ⇒ 併用方式
- ・小会社 ⇒ 純資産価額方式
一般に純資産価額方式のほうが類似業種比準方式のほうが高く算定されがちです。
会社規模が小さくなるほど、評価額のうち純資産価額が占めるウエイトが大きくなり、小会社であれば純資産価額で評価額を算定することが原則です。しかし、類似業種比準方式との併用を選択することも可能であり、どの方式によれば相続税額を低く抑えられるか、しっかりと見極める必要があります。
非上場株式について、相続・贈与時においては評価基準が明確に定められているのに対して、M&A等の売買時における評価方法は以下の通り複数存在します。
売買当事者が、企業の将来の収益性に着目して買収を考えるような場合は、インカムアプローチの適用が妥当と考えられますが、企業の有する資産が着目されるような場合は、ネットアセットアプローチの適用が適切な場合もあります。
株価算定の局面や当時者の特性等を踏まえ、妥当な方法を選択する必要があります。